前田邸(旧佐藤久勝邸)
幸せのかたち
満たされた僕の家は
今も静かに待っている
大切なものは何ひとつ
見失うことはない
ほんの少しの光でも
僕は迷わずにいられる
あなたの焼いてくれたパンと
僕を呼ぶ声
何もないけれど
溢れるほどの緑
何もないけれど
話は尽きることなく
誰もいない部屋で独り
あなたは祈り続けてる
何一つ変わらないまま
幸せのかたち
いつも僕らのそばにいて
悲しい話遠ざけた
夢にまで見た幸せが
確かにそこにある
何もないけれど
奏でる声のメロディー
何もないけれど
言葉は生まれる
何もないけれど
溢れるほどの緑
何もないけれど
話は尽きることなく
近江八幡土田町に、昭和6(1931)年、ヴォーリズ建築事務所の佐藤久勝自邸として建てられたスパニッシュ・スタイルの住宅。当時の近江兄弟社発刊の冊子「湖畔の声」に、彼はこう記している。
「我が家こそ、どこまでも、親しさと、そして暖かさとの溢れている住宅で、あらしめよう。こん度の台所の動きよさ、パンも自ら焼こう、新しい料理もやってみよう。母や女中が困っても構わないから……。
培う日が待遠しいものだ。あれも植えよう、これも植えよう、楽しき我家……懐かしの我が家。」(原文ママ)
佐藤は、この新居完成の数ヶ月後、急性肺炎のため他界。その後、朋友・前田重治が後を継ぎ、現在は嫡男典夫氏の代となっている。
参考:山形政昭著『ヴォーリズの西洋館』
2006年04月03日
by w-m-vories | 2009-10-02 14:30